通信制高校とは ~通信制高校の特徴と選択するメリット~

通信制高校とは

通信制高校は、郵便やインターネットなどの「通信」を中心にして学習し、高校の卒業に必要な単位を修得する学校です。全日制高校のように毎日登校する必要はなく、ふだんの勉強は自分のペースで進められます。年間で数日間のスクーリング(面接指導)と試験で、一定の単位を修得すれば卒業することができます。

全日制にくらべ登校によって拘束される時間が大幅に少ないため、ほかの時間をいろいろなことに使えます。将来の目標が決まっていれば、そのために時間を有効に使うことができます。プロゴルファーやバレエダンサーを目指している人、すでにタレント活動を始めている人、税理士や公認会計士を目指して平日は専門学校に通っている人、などなど、さまざまな生徒が通信制高校で学んでいます。

高校に入学する生徒は年々減っていますが、通信制高校は逆に増加しています。

◎全国の高校と生徒数


高校は全国に5000校ほどありますが、少子化の影響などのため10年前から約400校も減っています。同じ10年の間に、通信制高校は192校から250校へと増えています。

「高校数と生徒数」
(文部科学省学校基本調査結果より)

高校生の数も、10年前から約13万人減って現在は約346万人ですが、その間に通信制高校の生徒は18万人台で推移していて、生徒の割合では通信制高校が少しずつ増えていることになります。一方で、定時制高校の生徒数は2014年まで10万人から11万人ほどでしたが、2015年に10万人を割り、2017年には9万人を切るなど、ここ数年は減少傾向が続いています。

◎通信制が選ばれる理由

通信制高校は、平日の昼間は仕事をしている生徒の多くが、卒業に4年以上かかる定時制高校に代わる進学先として選択してきたほか、全日制に入学した生徒が人間関係や健康上の理由などから通学が難しくなったときの転学先として選ばれてきました。中学校の段階で、いじめや心身の障害などで不登校になった生徒や、集団生活にどうしてもなじめない生徒の受け皿としても利用されてきました。

そのように何らかの理由で全日制に通えない、または通いたくないために、やむをえず通信制に入学する生徒は現在も一定の割合を占めていますが、ここ数年は、時間的な拘束も地理的な制約も少ないという通信制高校の特性を大きなメリットと考えて、積極的に通信制高校への進学を選択する生徒が増加しています。

◎全日制・定時制との違い:登校は年に数日

一般的な高校では、全日制は1日4時間から6時間、定時制は1日3時間か4時間の授業があります。年間の授業日数は年に190日から220日程度で、そのうち3分の2以上の授業に出席し、定期試験で及第点をとらないと進級/卒業できません。

授業のほかに、全員参加が前提の学園祭や運動会などの学校行事は準備にも相当な時間をかけます。部活動は任意参加ですが、部によっては毎日のように練習活動があったり、運動部なら土日には対外試合が実施されたりします。

学校行事は生徒自身が楽しんでやっている場合が多く、部活動も生徒本人が望んでやっていることであれば、もちろん何の問題もありませんが、学校に拘束される時間が大幅に長くなる要因であることもまた事実です。

◎レポートとスクーリング:ふだんの勉強

通信制課程のふだんの勉強は「レポート」が中心です。レポートは多くの場合、インターネットに接続したタブレットやパソコンで授業の動画を視聴し、確認テストに回答する形式で、接続環境さえあればどこでもいつでも進めることができます。わからないところがあれば、教科書を読んだり動画をもう一度見て確認できます。それでも不明な点は、教科担当の先生にメールやSNS、または電話で問い合わせるか、学校に出かけて先生に直接たずねることもできます。

レポートに加えて、科目ごとに年間1回から数回、学校の教室で実施される「スクーリング(面接指導)」に出席する必要があります。

決められた回数のレポートとスクーリングをこなせば科目の履修が認められ、年に1回(半期制の場合2回)の期末テストを受ければその科目の単位修得が認定されます。

◎単位制のメリット:「留年」はない

全日制・定時制高校は、学年制をとっている学校がほとんどです。学年制では、出席日数が足りなかったり、期末試験で及第点がとれない科目があると、補習や追試などの救済措置がなければ進級できずに留年(正式には原級留置)となり、同じ学年をもう一回過ごさなければなりません。

ほとんどの通信制高校は、単位制を採用しています。単位制の場合、履修しなければならない「必修科目」と、複数科目のなかから決められた数の科目を選択する「選択必修科目」を履修すれば、あとは進路や好みに応じて望みの科目を選ぶことができます。これらを合わせて、3年の間に必要な単位数(最低74単位)を修得すれば、卒業することができます。

単位制のいいところは、まず3年間で履修する科目の構成について自由度が高いことです。単に組み合わせ自由というだけでなく、1・2年目にとれるだけとり3年目は最小限にして他のことに時間を使うといった設定ができます。もうひとつ、「留年」という扱いが存在しないことがあります。年度内にレポートが終わっていない科目があっても、次の年度に残りのレポートを完了すれば単位の修得が認定されます(単位認定の規定は、学校によって異なる場合があります)。

◎学費:公立と私立の差は大きいが・・・

通信制高校の学費(授業料など)は、全日制に比べるとかなり低く設定されています。 公立の通信制課程は特に低く、入学金が500円程度、授業料は1単位300円程度、学習費が1科目400円程度、諸経費1万円程度など、これに教科書代や最低限の学用品の購入代金を加えると、通学日数を最小に設定にした場合、初年度の学費は合わせて5万数千円です。都道府県によって違いはありますが、金額の差は大きくありません。公立の全日制では、学校教育費(学費)は平均で約27万6000円なので、通信制なら5分の1程度ですむことになります。

いっぽう私立の通信制高校は、学校や選択するコースによって学費は大きく変わってきます。自宅学習が中心の基本的なコースの場合、多くの学校で初年度の学費は25万~40万円程度に設定されていて、全日制の私立高校の平均である75万5000円よりかなり低い金額です。通学日数の多いコースや通常科目以外の専門コースを選択すると、その分の費用が加わり、全日制と変わらない金額になることもあります。

公立の通信制高校は、学費はぐっと安いのですが、生徒に対する学習進度や精神的なケアは手厚いとは言えません。ふだんの勉強(レポート)は自学自習が基本であり、生徒自身が自発的にやらないかぎり進まないので、自宅学習だけではとどこおりがちです。そうした自学の習慣がついていない生徒のために、レポート学習をうながし、わからないところをくわしく説明し、進路や精神面の相談にも乗って、高校卒業までサポートして導いてくれるのがサポート校です。

通信制高校とともにサポート校も利用する場合は、サポート校の費用も必要になります。費用は、通学日数など学習のための「サポート」をどのくらい受けるかによって、年間で15万程度から60万円以上と幅があります。なかには、学習支援のほかに高校教科以外の専門教育を行うサポート校もあり、その場合は専門教育の授業料も加わるため、学費はさらに大きくなり、年間で100万円を超えるケースもあります。

通信制高校には、学校それぞれの特徴があり、学費や勉強のスタイル、教科以外に何を学びたいかなど、自分の目的にあった学校を探すことが重要です。

○高校無償化:就学支援金

2010年から、教育に係る経済的負担の軽減を目的として就学支援金が支給されるようになりました。国公私立問わず、高等学校等に通う一定の収入額未満(概ね年収約910万円未満)の世帯の生徒に対して、授業料に充てるため、国から高等学校等就学支援金をが支給されています。

これらの支援金は、全日制・定時制だけでなく通信制課程の生徒にも同じように適用され、単位制通信制高校の場合、支給期間は「最大48ヵ月」、支給額は1単位当たり「4,812円」、年間最大30単位と決められています。
尚、就学支援金は世帯の収入に応じて、月額の1.5倍~2.5倍の支給が受けられます。

ただし、通信制高校とサポート校の両方を利用している場合、通信制高校の授業料は無償化の対象になりますが、サポート校は日本の学校制度の中に位置づけられる(学校教育法で定められた)学校ではないため、その授業料は利用者の全額負担となります。

詳しくは文部科学省「高校生等への修学支援」もしくは各学校までお問い合わせ下さい。 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/index.htm

◎「不登校」でかまわない

2016年度の調査で、全国の小中学生の長期欠席者(年間通算30日以上欠席)は約20万7000人、そのうち「不登校」は13万4000人(小学生3万1000人、中学生10万3000人)でした。高校生では、長期欠席者約7万9000人のうち不登校は4万9000人になります。

不登校の理由はさまざまで、大げさに言えば児童・生徒の数だけ固有の理由があるとも言え、不登校となった児童・生徒を「教室に戻す」には、ひとりひとり状況を把握して個別に対応する必要があります。学校としても、学級担任だけでなく、不登校支援専任の教員やスクールカウンセラーなども加わって対応しています。学校側の支援がうまくいって教室に戻れる児童・生徒もいますが、別室登校どまりだったり、いったんは教室に戻ってもまた保健室にしかいられなくなったり、どうしても学校へ来れない生徒もいたりと、大幅な改善はみられていません。おそらく、いまの学校の学年・学級を中心とした一斉授業のシステムが変わらない限り、根本的な解決は得られないでしょう。

小中学校の場合、長期欠席があっても原級留置(留年)の措置がとられることはなく、ほとんどの場合はそのまま進級させます。たとえば、中学校3年間、一日も出席しなくても卒業できる(卒業させられてしまう?)のが普通です。校内の別室登校は出席の扱いにはなりますが、授業に出ていなければ、成績(学習評価)はたいてい最低点になります。そのため、内申書が重視される公立高校へ進学するのは難しくなります。

校外のフリースクールでも、学校が認めれば出席扱いとなる場合もあります。最寄のフリースクールに通い、その後、通信制高校から大学に進学といったケースも一般的になりつつあります。
最近では、インターネット学習の教材が非常に充実しておりますので自宅学習やフリースクールでしっかり学び、次のステップを見すえて日々を過ごすことが大切です。

※フリースクール参考
NPO法人 日本フリースクール協会
NPO法人フリースクール全国ネットワーク

※ネット教材参考
スタディサプリ 小学講座+中学講座
学研ゼミ
Z会